青い靴下
一週間くらい前、愛犬リクが左の前足をケンケンするように歩いていた。
その朝散歩では、走っていたので心配になり、すぐに近くの病院へ連れて行くと獣医さんから「肉球に傷があるから、当分は、出来るだけ安静に」と伝えられた。
ご飯より公園散歩が好きなリクには申し訳ないが、軽いご近所散歩に切り替えるしかなく、毎朝の野川公園のお散歩は、私だけの日課になった。
幸い、ケガはそんなにひどくなくケンケンは、初日だけで、1週間ほどすると、たまに左の足裏の肉球をなめるくらいに落ち着いていった。
今朝のリクの公園散歩復活は、まだ微妙だったので、私一人で野川公園へ行った。すると、公園で出くわしたわんこ仲間が
「リクちゃんどうしたの?」
と声をかけくれたので、リクの公園散歩不在の経緯を伝えた。
するとわんこ連れの皆さんが
「犬用の靴下があるからそれを履けば肉球を守れるよ!」
「ペットフォレストとかで靴下売ってるよ!」
「簡易なものでよければ百均でも売ってるよ!」
とたくさんの情報をくださった。
家に帰り、朝食を済ませ、”犬の靴下を買いに行こう!”と考えていたら
「ピンポーン」とインターホンが鳴った。
玄関を開けるとわんこ仲間のおひとりで
「これ、マイロのお古だけど使って」と犬の靴下を手渡してくれた。
わざわざ家に戻ってわんこ用の靴下を届けて下さったのだ。
マイロは、ジャックラッセルテリアの雄で、わんこ仲間がくれたリクのおやつを横取りする、かなりやんちゃなくい食いしん坊わんこだ。
公園の先輩わんこマイロにやられっぱなしのリクだったが、二人?は、微妙な距離感の仲良しだった。
そのマイロが、1年位前のある日、突然3本足になって公園に現れた。
なんでも、悪性リンパ腫があるとわかり、前足の1本を切断するしかなったたと聞いた。
それからマイロの前足には、ビニールコーティングされた青い靴下がいつもかぶされていた。
病気になってもマイロのやんちゃぶりは健在で、リクは相変わらずおやつを取られ、周りの人達も「相変わらずだね~。」と微笑ましくその光景を見守っていた。
そのマイロがほんの1か月前に天国へ行ってしまった。
私たちが東京を少し離れていた間の出来事でリクも先輩犬のマイロとお別れができなかった。毎朝一緒にお散歩で一緒にだったのにもう一緒にお散歩できないんだ。
1週間ほど姿を見せなかった飼い主さんだが、健康の為に朝の散歩を復活されたと笑顔を見せてくれた。そして、私たちは、以前の様に朝、公園でたわいもないお話ができるようになった。
私は、リクにマイロの飼い主さんからいただいた片足だけの青い靴下を履かせて久しぶりに公園へ連れていくことにした。
ビニールコーティングされた青い靴下を履いたリクは、喜びを爆発させ、しっぽをふりふりしてとても満足そうだった。
優しさは、見えないものだけど様々な形になりながら人の心に浸透していく。
ほんの少しの事で、アンハッピーだったことがハッピーなことへと姿を変える。
いい事をしようと意識すると肩に力が入るものだが、いつも誰かのために動く人の手には、力が入っていなくて、まるで呼吸をするように自然に動いている。
物にも感情が移る事があるならば、「リク久しぶり!元気でやれよ!」とマイロは伝えてくれているだろうか。
紅葉が美しく輝く陽だまりの中で、青い靴下を履いたリクが笑っていた。
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