そこにいるだけでいい

 
「えっ！抱っこしてもいいですか？
   可愛いですね～。

   うちにいた子と柔らかい毛の感じが
   全く同じです！」
 
65歳くらいのハイキング女性が
キャバリアのリクを抱きしめ
愛おしそうにそう言われました
 
去年の初秋、愛犬リクと
御嶽山へ行った時に
偶然すれ違った方とのエピソードです
 
リクは、イギリスの犬種

"キャバリア キング 

  チャールズ エスパニョール"

の２歳の雄犬です
 
イギリス国王がこの犬をこよなく
愛したことから犬種名に
キングの称号が入っています
 
キャバリアは、猟犬なので
山に連れて行くと
とても喜ぶので、
 
初秋のある晴れた日に
御嶽山ハイキングへ行きました
 
御嶽神社には
犬の神様を祭ってあるらしく
御嶽山は、わんこ連れに優しい
ハイキングコースとして有名です
 
 

本格的にハイキングに出発する前に
カツカレーで腹ごしらえしてから
まずは、御嶽神社へ参拝し
脇道の山道へ行きます
 
ロックガーデンまで歩き
少し休憩します
 
ロックガーデンは、名前のごとく
大きな石がごろごろし
綺麗な水も流れていて
ゆっくりお弁当を食べる人もいたり
とても癒される場所です
 

御嶽山に行ったら
ここまで足を伸ばすと
又違った雰囲気を
楽しめるかもしれませんね
 
ロックガーデンで
折り返して約３時間弱
とても気持ちよく歩きました
 
帰り際にハイキングチームの
団体さんとすれ違いました
 
一人の65歳くらいの女性が
リクを見るなり駆け寄ってきて
 
「うちにもキャバリアがいたのですが
　半年前に死んでしまって
 
　あまりにもそっくりだったので
　びっくりして話しかけてしまいました」
 
そう言って愛おしそうにずっと
リクを見つめていらっしゃいました
 
私も2年半前にシーズー犬を
亡くしたので
その方の気持ちがよく分かります

 
「良かったらこの子と一緒に
   お写真撮りましょうか？」
 
そう伝えると
 
とても愛おしそうに
リクを抱きあげ
笑顔を見せてポーズを
作ってくれました
 
そして
 
「こんなに嬉しい事は無いです
 帰って娘に写真を見せます」
 
と今度は、涙ぐみながら
おっしゃられました
 
 
"リクは、特別なことは何もしていません"
 
しかし
 
“そこにいるだけ”
 
で涙を流してもらえるほど
喜んでもらえました
 
”そこにいるだけでいい“
 
その存在があるだけで
誰かの為になっている
 
それを見た瞬間でした
 
傍にいる事が当たり前すぎて
気が付かないけれど
 
きっと、私たち一人一人も
誰かにとって
 
“そこに居るだけでいい“
 
のかもしれません
 
失わないとその意味を
思い出せなかったりもしますが
誰かが傍にいてくれることは
 
当たり前ではないのかもしれません
 
“そこに居るだけでいい“
 
シンプルだけど大切な気づきでした
 
帰りの車の中で
いつもそばにいてくれるリクを
ぎゅっと抱きしめました